マスタードについてご紹介しています。辛いスパイスとして日本ではポピュラーですが、実は加熱すると香ばしいナッツのような香りを出すのでインドなどでは加熱して使うことも多いスパイスです。
科名 | アブラナ科 |
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原産地 | 地中海沿岸(ホワイト、ブラック) 中央アジア、中国(ブラック) |
利用部位 | 種子 |
別名 | 辛子、トリ(ネパール語) |
用途 | 辛味づけ、香りづけ |
相性のよいスパイス | ペパー、ガーリック、クミン、パセリ、ターメリック |
風味の特徴
マスタードと言えば香りよりは「辛い」スパイスとして使われることが多いと思います。
でも、マスタードシードのホール(原形)を噛んでも、苦味と少しだけ刺激性の辛味が感じられるだけで「辛い!」という感じではありません。不思議ですね。
それはマスタードの辛みが水を加えて練られると起きる加水分解によってはじめて生成されるからなんです。そのためそのまま噛んでも辛くないのです。
【マスタードの加水分解】
マスタードはグルコシノレートという成分をを含みますが、これ自体は辛みはありません。すりおろされて水が加えられると、マスタードが含む油分シニグリンやシナルビンという成分が酵素ミロシナーゼの働きで加水分解されます。
これはダイコンなどでも同じ仕組み。組織が壊れて加水分解をすれば辛くなります。
また、加熱すると酵素の働きが鈍るため、辛さも抑えられます。なのでマスタードだけで作るカレーは辛くないんですよ!
形状の特徴
マスタードはアブラナ科のマスタードシードはアブラナ科の植物の種子です。小さな丸い種子。ころころと可愛いです。
触ってみるとさほど硬くはありません。
種子には皮(種皮)があります。この皮には辛味の元になる酵素はほとんど含まれていません。
粒マスタードは種皮も一緒に使用されており(”オールドタイプマスタード”)、マイルドな辛さなのは、そのためです。
種類
「マスタード色」というと黄色いイメージがあると思いますが、マスタードの色は黄色だけではありません。スパイスの採れる植物の違いで大きく、ホワイト(イエロー)、ブラウンに大分できます。
ホワイト(イエロー)マスタード
日本語では白からしと呼ばれます。
穏やかな辛味と酸味、旨味があります。辛みのもとの油成分はシナルビンで、酵素の働きでベンジル芥子油という辛み成分を作ります。不揮発性成分が多いので(揮発性が弱い)、辛みがマイルドになります。
ブラウンマスタード~和からし
ブラウンマスタードはオリエンタル主とも呼ばれます。日本の和からしはブラウンマスタードの一種です。
辛味成分アリル芥子油が含むのシニグリンが揮発性が高く、そのため刺激的。ホワイトに比べると鼻に抜けるようなツンとした辛みを感じさせます。
マスタードの健康効果
マスタードは体を温める生薬です。それは口から入れてももちろん、塗布しても同じ効果が期待できます。ただし肌に直接つければ、刺激が強いので十分気を付けてください。(肌を刺激して血行を高めて肌が温かく感じます)
- 抗酸化・抗菌作用で老化を抑える
- 糖尿病や心臓疾患などを予防する
- ガンの予防
- 喉痛や扁桃腺の腫れ、頭痛に塗布して
- カラダを温めるので温活に
- 筋肉疲労の緩和
- 肌荒れを予防して美肌に
練りマスタードスパイスの種類
練りマスタードは実に多くの種類が流通しています。ここでメジャーどころをご紹介します。いろいろと試すのも楽しそうですね。
- ディジョンマスタード
フレンチマスタードの中でも有名。ブラウンマスタードパウダーに白ワインや他スパイスを合わせて作られます。なめらかで上品な酸味。
- イングリッシュマスタード
ブラウンマスタード、ホワイトマスタードに小麦やターメリックなどを合わせて作られます。パウダータイプと練タイプとあります。ハムやローストビーフなどに掛けておいしいです。
- 粒マスタード
ディジョンマスタードに比べると辛みが強いのは、唐辛子が加えられているタイプ。
- アメリカンマスタード
ホットドックに使われるあれです!主にホワイトマスタードを使いターメリックで色づけされています。
パウダータイプをおいしく溶く方法
マスタードはホール、パウダー、ペーストといろいろな種類がありますが、パウダーは保管もしやすいので便利です。ここでは、辛さを引き出すためのポイントをご紹介します!
- パウダーを水で練るときは水分が多くせず固めにして練ります。
- 40~50度くらいのぬるま湯がよい。酵素の働きが活発になって辛くなります
- 水気を吸ったあとの分解ですので、溶いてから10~15分くらい置いた方が辛さがよく出ます。ただし時、間がたちすぎると辛み成分は揮発してしまいますのでご注意を。
マスタードを手軽においしく使う方法
脂っこい肉の味やこってりした味を引き締めることから、トンカツやステーキなどに添えられています。水に浸してから軽くつぶしてピクルスやマリネ液に浸して風味をつけて使ったり、インド周辺国では油でテンパリングして料理に使います。
魚や肉をマスタードでソテー
練りマスタードや粒マスタードは鶏肉や赤身・白身の魚に塗って、焼くだけで塩を少なめにしても満足のいくおいしさになります。
辛みを出す酵素の働きは加熱で弱まるため、辛み自体は抑えられますが風味が残ります。
オリジナルのマスタードソースを作る
マヨネーズやヨーグルトに粒マスタードを加えてあえるとステーキやサンドイッチにも使えるおいしいソースができちゃいます。
こちらの記事にレシピをまとめていますので、よろしければご覧ください。
ブラウンマスタードシードを淡泊な野菜炒めに
ブラウンマスタードシードは炒めるとナッツのような香ばしさが出てきます。辛み成分は加熱に弱い(加熱で酵素の活性は弱まるため)ため、ほぼ感じなくなります。
この風味を利用してシンプルな野菜炒めに使うと、野菜の甘みを引き出すことができます。
ブラウンマスタードで作る野菜炒めレシピ
鍋を弱火にかえけ油をひき、ブラウンマスタードシード小さじ1分程度をテンパリング(すごく飛ぶのでフタをしてください)します。
シードのパチパチが止んだら、ピーマンとかキャベツとか淡泊な野菜を入れて炒めて塩で味を調えるだけです。ここで使われるのは、ナッツのような香ばしい香り。
マスタードペーストで自家製ドレッシング
マスタードには乳化を助ける作用があります。乳化は、水と油など二つの分解する液体を細かく混ぜ合わせる作用です。
そのためマヨネーズや自分でオイルと酢やレモン汁などを合わせてドレッシングを作るときに、マスタードペーストを加えると油と酢などが分離しずらくなります。ほどよい酸味も加わって風味アップしますので、シンプルなドレッシングのときに活躍します。
あとがき
マスタードシードは常備しておくと、必要なときに新鮮な練り粒マスタードを作ることができるし、ドレッシングにも使えるし、淡泊な炒めもの料理にアクセントを加えることもできますので、ぜひ手を出してみてください!
それでは、また!