スパイス別健康効果

【クローブ効能8つ】性欲増進など驚くべき幅広い効能!ただしサプリや過剰摂取には要注意

ネパール人の夫と暮らす香子です。母国を離れて日本で暮らす夫のためにスパイス料理を勉強し始め、今ではスパイスを使わない日がない毎日。スパイスは使ってみると料理の幅を広げてくれるだけでなく、なんだか健康度も上がりました。そこでスパイスの本を20冊読みあさり、Harvard Medical Schoolなどの専門サイトからも情報収集してみると、スパイスって実は生薬!ということで健康効果をご紹介しています。

クローブは強く甘い刺激臭が特徴のインドネシア原産のスパイスで、「歯医者さんの匂い」に例えられるし、実際に歯科医療にも利用されています。そのくらい抗酸化作用が高く、成分のオイノゲールのおかげと考えられます。肝臓や骨の健康、さらには最近ではガンにも効果が期待されているスーパーフード。だからと言って過剰摂取しないよう気をつけて下さいね。

スパイスとしての使い方のコツなどはこちらの記事をご覧ください。濃い食材と合うし、重厚なカレーを作りたいときに活躍しますよ。

 

胃腸やカラダを温める生薬

クローブは案外日本人にも身近なスパイス。「チョウジ(丁子)」という漢方薬の一つです。芳香性健胃(嘔吐、胃痛、腹痛、胃潰瘍、便秘や下痢)や食欲増進、また女性ホルモンの変動による神経症状にも効果があるとされていて、女性の強い味方って感じです。また、カラダを芯から温める生薬とされています。

インドやネパールなどの伝承医療のアーユルヴェーダでは、虫歯や口臭に使われ、中医では擦り傷などの改善に塗布して使われています。

 

虫歯に!歯医者さんのスパイス

アーユルヴェーダで利用されているように、クローブは日本の歯科治療でも利用されているようです。歯科でよく使われるユージノールセメント(酸化亜鉛ユージノール)という治療薬はクローブから作られています。殺菌作用や歯髄沈静作用があるので虫歯の穴に詰めて消炎を狙うときとか使われるそうです。

 

抗菌作用

クローブは菌の繁殖を防ぐと言われています。クローブの抗菌作用によって、食べ物が腐ることを防いだことを証明した実験もあります。

また、ある実験では、21日間、クローブとティートゥリーオイル、バジルで作ったマウスウォッシュを40人の被験者に使ってもらったところ、腔内の菌やプラークが減ったそうです。

参考)Microbicide activity of clove essential oil (Eugenia caryophyllata) A comparative study of antiplaque and antigingivitis effects of herbal mouthrinse containing tea tree oil, clove, and basil with commercially available essential oil mouthrinse

 

ずば抜けた抗酸化作用・抗炎症

抗酸化物質には、近年注目されてるポリフェノールがありますが、クローブは強力な抗酸化作用オイノゲールを含んでいます。その量はスパイスの中でも抜群!

Harvard Medical Schoolの記事によれば、1,000以上のスパイスを比較した調査で、クローブの抗酸化作用はダントツです。

クローブの次席のオレガノ(ドライ)よりも3倍もの抗酸化成分を含んでいたというから圧巻の1位ということ!

高い抗炎症作用は自己免疫系の疾患に効果があると言う研究もあります。これは関節リウマチなどの改善につながる可能性があります。

参考)bibgraphncbi

 

マンガン含有量高し!骨の健康に

先に関節リウマチの改善に効くかもという情報がありましたが‥クローブは骨の健康にも効果があるかもしれません。

香子
香子
骨の健康って高齢のヒトの問題でしょ?と思った方、それは大いなる勘違い。骨の健康は若いころからのこころがけが重要!

というのは、骨の健康は一朝一夕に作られるものではなくて、若いときからの生活の積み重ねで決まるからです。つまり、老若男女、いずれの年代でも骨を丈夫にする生活をすることが肝心となってきます。

骨の健康がキーになってくるのは高齢になってからです。


高齢になってから骨折すれば、それによって寝たきりになるリスクが非常に高く、そうなれば健康寿命に打撃です。骨折しないためには、骨が高密度で、強い必要があります。

そんなときのクローブ。

クローブはマンガンを30%を含み、これは他のスパイスに比較すると非常に多い量。マンガンは骨を形成したりする結合組織を作り、糖質・脂質・タンパク質の代謝に役立つミネラル。動物を使ったいくつかの実験でクローブが骨密度を改善したり、強化したという結果が得られていて、骨粗しょう症の改善もあったそうです。

参考)Clove (Syzygium aromaticum Linn) extract rich in eugenol and eugenol derivatives shows bone-preserving efficacy

 

肝臓の健康に

クローブには肝臓機能の改善作用があるとされます。いくつかの検証では肝硬変や脂肪肝の症状を抑えたという報告もあります。

クローブ精油やオイノゲールを混ぜた動物を使た実験では、肝機能を改善し、炎症を抑え、酸化ストレスが減ったことが報告されています。

香子
香子
人間での実験では、まだエビデンスは得られていないようです。また、オイノゲールの過剰摂取は逆に肝臓に悪影響を与えたという実験結果もありますので、ご注意を。クローブの摂取に注意が必要な点は後述しています。

参考)WebMD healthline

カラダを温める温活効果!

クローブが含有するオイノゲールには、カラダを温める作用も期待されます。

その仕組みはこうです。
温度刺激を感知する受容体TRPチャネルを活性化し、刺激を受けた血管が拡張すると皮膚温が上がる。

丁子は漢方でも身体内部の冷えからくる不調に対して使われる生薬のひとつとされていて、
冷えからくる、下痢など胃腸の不調に効果があるとされますから、科学的にも経験的にも実証されていると言えそうですね。

男性の性欲減退に

実は、クローブが多く含むオイノゲールが血管拡張作用と筋弛緩剤作用を持つことから男性の射精までの時間を長くするための製品に使われてたりしています。この場合食べるのではなくて、塗布します。性交渉の1時間前に男性器に(!)塗布するなど。

実はクローブはイスラム圏の伝統医学の「ユナニ医学」で、男性の滋養強壮剤としての歴史を持っています。また動物実験に留まりますが、その効果も確認されています。

Drugs.com NCBI

ネパール人夫ラム
ネパール人夫ラム
ただし肌への直接塗布は、危険も伴うことは覚えておいた方がいいですね (;’∀’)

ガン治療への期待

クローブはガン予防の効果も期待されています。
腫瘍の成長を抑制し、ガン細胞を殺す作用がみとめらた実験報告がいくつもあるようです。
なお、ここで利用されたのはクローブの非常に濃度の高い精油でした。

だからと言ってクローブを大量に摂れば、オイノゲール多量摂取となり肝臓を傷める可能性もあります。

今や二人に一人はガンになる時代。こうしたスパイスのガン治療への活用、どんどん研究を進めてほしいです。

参考)Clove Extract Inhibits Tumor Growth and Promotes Cell Cycle Arrest and Apoptosis Comparative anticancer potential of clove (Syzygium aromaticum)–an Indian spice–against cancer cell lines of various anatomical origin

 

血糖値を下げるかも

糖尿病は、インシュリンが不足したり、体がインシュリン分泌量に正常に反応しないことで、高血糖を引き起こす病気。代謝性疾患です。
クローブがこの糖尿病を改善することが期待されています。

クローブがインシュリン分泌を促進し、血糖値を下げたという実験結果があります。
糖尿病ラットを使った実験ですが、クローブの精油が血糖値を抑えたそうです。
他にも同じような実験があるようです。

糖尿病になれば、砂糖が入った食品を完全に遠ざける必要があり、食べるもののコントロールが必要な病気。

クローブの甘い香りを利用することで、砂糖の使用も控えることができます。これはシナモンにも言えることで、シナモンとクローブはちょっと似た甘い香りがありますので、併せて使うと良いかもしれません。

参考)Hypoglycemic effects of clove (Syzygium aromaticum flower buds) on genetically diabetic KK-Ay mice and identification of the active ingredients Clove and Its Active Compound Attenuate Free Fatty Acid-Mediated Insulin Resistance in Skeletal Muscle Cells and in Mice

 

クローブの摂取には注意も必要

クローブの健康効果はいろいろ期待できるところで、料理にぜひ取り込んでみてもらいたいです。ですが、摂取の方法として次の2点には注意が必要そうです。

クローブ精油を使って副作用が起きた場合は、医療機関にかかりましょう。特に経口した場合、息苦しさ、顔や唇、舌、喉の腫れと言った症状が報告されているそうです。

【スパイスの注意点】クローブは過剰摂取に注意!強烈な香りを持つクローブは、健康効果が沢山期待できるスパイスの一つ。それはオイノゲールという成分によるものです。 でも、最近、その効果を期待しすぎてなのかサプリやクローブ精油をキケンな使い方をしてしまうひともいるようです。 この記事ではクローブの注意すべき摂取についてご紹介します。サプリってつい「健康食品」だと思って気軽に接してしまいますよね。でも基礎疾患を持っていたり、子どもだったり、妊娠中だったりする場合は注意が必要です。...

あとがき

17世紀にヨーロッパで大流行したペストのときもクローブは活躍しました。その頃は悪臭が病原と考えられていた為、百里香の別名を持つほど強い香りを持つクローブは、予防策として貴族を中心に用いられました。
スカートの裾に縫い合わせたり、クローブ入れのポケットを作ったり、ネックレスにしたり、特殊なフェイシャルマスクにクローブを入れていたりしました。

ペスト流行渦で医師がしていたマスク(さきっちょにクローブを入れていた)

 

【クローブ】オレンジとはゴールデンコンビな強い特徴的な香り!そのまま噛めばミンティアいらず!ネパール人の夫と暮らす香子です。 母国を離れて日本で暮らす夫のためにスパイス料理を勉強し始め、今ではスパイスを使わない日がない毎日...

 

これが、今も信じられれば「コロナにいいかも!」と言えるところですね…。クローブはちょっと刺激のある香りで、苦手意識を持ってしまう方もいるかもしれませんが、加熱して使うことで柔らかな香りになります。お手頃価格ですし、日常に取り入れてみてほしいです。わたしは、朝はクローブとシナモンをお湯に入れて、数分沸騰させたものを、お茶として飲んでます。甘い香りがおいしいです。

それでは、また!