ネパール人の夫と暮らす香子です。母国を離れて日本で暮らす夫のためにスパイス料理を勉強し始め、今ではスパイスを使わない日がない毎日。スパイスは使ってみると料理の幅を広げてくれるだけでなく、なんだか健康度も上がりました。そこでスパイスの本を20冊読みあさり、Harvard Medical Schoolなどの専門サイトからも情報収集してみると、スパイスって実は生薬!ということで健康効果をご紹介しています。
アニスシードは日本ではどちらかというとマイナーなスパイスですね。名前が非常に似ている「スターアニス」というスパイスもありますが、全く別物です。
アニスシードは女性向きなスパイスだと思います。なぜなら、鉄分に富んでいて、小さじ1で1日摂取に必要な10%以上をカバーします。そして甘い香りのもとアネトールは女性ホルモンのエストロゲン的働きをするんです。
ところで、アニスによく似たスパイスに名前が似た「スターアニス」または形状の似た「フェンネル」があります。が、それぞれ全く別物。でも混合して「アニス」と呼ばれることもありますので注意してください。
アニスとは
甘い香りを持つスパイスです。日本人にもなじみがある黒甘草(リリコス)のような甘くて香り高い味わいです。乳製品やキャンディー、オーラルケア製品、石鹸や香水の香料として使用されます。
アニスの精油の80~90%はアネトールという成分です。これは、エストロゲンのような作用をするとされます。また、腫れや炎症を軽減するとも言われており、アニスの健康効果を支えています。
胃腸の不調の改善
いくつかの実験では4週間にわたってアニスパウダーを摂取したところ、消化不良から起きる胃のもたれ感や膨満感、胃痛などが改善したことが報告されています。
長引きやすい過敏性腸症候群(IBS)にも効果があったと報告する実験もあります。
また、胃酸を抑える薬と一緒に摂取した実験では、潰瘍を防ぎ、潰瘍による痛みなどの症状を防ぐ可能性を示唆した結果もいくつかの実験で得られています。
産後鬱など気分の落ち込みに効くかも
先述のIBSはストレスなど精神的なものからくることもありますよね。アニスは実は精神的な落ち込みなどの改善の効果があるとも言われています。
ただし、これはまだエビデンスが不足していますので、更なる研究に期待です。
ある実験では、アニスの精油を毎日4週間にわたって摂取したところ、気分の落ち込みが改善したと言います。動物を使った実験でも、同様の結果が報告されています。
ひとつ具体的なものとしてご紹介したいのが、最近耳にすることがときどきある「産後鬱」に対する実験です。
産後うつ病はおよそ10%の罹患率があり、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3か月以内に発症することが多いです。
引用:日本産婦人科医会
107人が被検者として参加した実験では、1日3回、3グラムのアニスパウダーを摂取したところ、産後鬱の症状が改善しています。
閉経後の更年期障害に効くかも
更年期障害、生理が終わる前後のだいたい10年間に起きる体の変化です。これはエストロゲンの分泌が急激に減ることで起きるそうです。症状としては厚生労働省はこう言っています。
女性の閉経前における身体的症状としては、のぼせや顔の火照り、脈が速くなる、動悸や息切れ、異常な発汗、血圧が上下する、耳鳴り、頭痛やめまいなどです。精神的な症状としては、興奮亢進、イライラや不安感、うつ、不眠などです。
閉経後はこれらに加えて、膀胱炎や尿失禁、腰や膝の関節痛、目やのどなどの粘膜の異常などの身体的症状と無気力感などが精神的症状として現れてきます。(厚生労働省)
イヤになっちゃいますね…
でもアニスシードが救世主になるかもしれません!とはいえ、これも、更なる研究が必要と言われており、エビデンスとしては不十分なことはご留意くださいね。では実験をご紹介します。
72人のホットフラッシュ症状のある女性が参加した実験では、330㎎のアニスシードを毎日摂取するのと、偽薬を摂取するグループに分けて結果を確認しました。
すると、アニスシードを摂取したグループでは、深刻なホットフラッシュが約75%おさまったそうですよ!
更年期障害の症状は骨にも出ます。「閉経後骨粗しょう症」なんて言葉もあるほどです。
さて、アニスシードは骨粗しょうにも効果があるかもしれません。ただ、一つの動物を使った実験の結果で確認されるにとどまっています。アニスシードの精油の80~90%を占めるアネトールが効果を持つと考えられます。
参考)
PubMeD
ResearchGate
血糖値上昇を抑える
アニスシードの精油の多くを占めるアネトールは、血糖値のバランスを摂る作用が期待されます。アネトールはインスリンを生成する細胞の動きを強めることが確認されています。
ある実験では45日にわたって動物にアネトールを使って確認を行ったところ、高かった血糖値が下がっったそうです。糖尿病の動物でも実験をして確認されています。
抗炎症作用
多くの実験で抗炎症作用は免疫強化に役立つとされます。アニスシードを使った実験は、人間でも動物でも行われており、抗炎症作用が確認されています。
例えば、アニスシードの精油が腫れや痛みを抑えたことが報告された実験もあります。
あとがき
いかがでしたか?アネトールすごいなあー。
ところで、アニスシードに類似するフェンネルも同じような健康効果が聞かれてます。
うまく日常に取り入れていきたいですね。わたしは朝にスパイスティーを毎日飲むのですが、フェンネルやアニスを摂り入れるようにしています。コーヒーや紅茶を淹れるときも、お湯に一緒に入れて沸かします。香り高くなって、いつものコーヒーや紅茶と違って気分転換にもなりますよ。お勧めです。
それでは、また!