料理をおいしくする最もポピュラーなスパイスの一つ、ニンニク。「ガーリックフレーバー」と聞くと唾が溜まってしまいますよね…。そんなニンニクは栄養価が高いことも最近では知られていることかと思います。
こちらの記事ではニンニクが持つ健康パワーを詳しくご紹介します。有機硫黄化合物を豊富に含んでいて、病気予防や治療の可能性について研究が行われています。免疫を全般高めることから「長寿のスパイス」と称されることもあるニンニク。これを読むともっと日常に取り入れていきたくなりますよ!
古代から利用されてきたパワー
古代エジプトにはピラミッド建設の労働者のエナジーフードとして大量に使われたとも言われているスーパーフードのニンニク。
世界の伝統医学でもその威力は受け継がれています。
アーユルヴェーダでは「若返りのスパイス」と呼ばれてます。
最近の研究ではがん予防の効果も期待されています。
日本には弥生時代に中国や朝鮮半島から伝来し、生薬として使われてきました。
体を温め免疫を高めることから邪気を撃退するとも考えられました。
~漢方におけるニンニク効果~
- 悪寒を伴う風邪の症状を改善
- 胃腸を温め消化を助け、下痢にも効果あり
ニンニクの健康パワーのもとはアリシン
ニンニクの香りのもと「アリシン」という成分がニンニクの健康効果の元です。強い殺菌作用を持ち抗菌、抗ウイルスの働きがあり、疲労を防ぐビタミンB1と結合して滋養を高めます。
アリシンには次のような作用があると考えられます。
- 疲労回復
- 強い殺菌作用による抗菌作用
- 抗炎症
- 悪玉コレストロールの上昇の抑制
- ガンのリスク低減
アリシンは、アリイン(アミノ酸)で、粉砕されることでアリイナーゼ酵素が働いてアリシンに変化します。丸のままのニンニクは臭わず、切ったりすると強烈な臭いを発するのはそのせい。
アリイナーゼ酵素は加熱で弱まると言う研究結果もアリ、健康効果をさらに得たいなら、ニンニクを粉砕してから10分以上置いてから加熱した方がいいとも言われています。
体力低下からくる風邪の予防
「疲れたときのニンニク」と言いますよね。この分野の研究も進んでいます。
3か月にわたったある実験では、毎日ニンニクのサプリを摂取した被験者は、そうでなかった被験者より63%も風邪をひかなかったそうです。
他の実験でも熟成ニンニクを毎日2.56g摂ったところ、風邪などをひく可能性が61%も下がったとか。
他の実験ではフレッシュまたは調理したニンニクでも効果があったことが確認されています。
ただし、エビデンスとしてはまだ弱いと言われていて、正式な薬として処方されるような状態までは至っていません。さらなる研究が期待されますね。
血液サラサラ効果
アリシンは血液をサラサラにする効果があると言われています。これは血小板凝集を抑制し、血液が凝固して血管をつまらせるのを防ぐ効果から来ているということです。
これによって動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中を予防したりするとも考えられますが、実験結果としてはエビデンスと言われるほどのものは出ていないようです。
高血圧対策に
心臓発作などの心臓疾患は世界の死亡原因の中でもトップを占めます。高血圧や高い血圧は、そのリスクファクターですから血圧を健康値に保つのは大切なこと。
ニンニクはここでも効果を発揮するかもしれません。
熟成ニンニクエキスを600~1500m、4週間摂取したところ血圧の上昇を抑えたという研究結果があるなど、ニンニクを使った実験では結果が得られているものもあります。
悪玉コレストロールの抑制
LDLコレストロールを下げるという結果も得られています。コレストロール値の高いヒトたちが、ニンニクエキスを摂取し続けたところ、LDLコレストロールを10~15%下げたというものです。
LDLコレストロールはいわゆる悪玉コレストロールですから、これはうれしい!!
強い抗酸化作用でアルツハイマーや認知症予防に
ニンニクが持つ高い抗酸化作用がアルツハイマーや認知症を予防する可能性があると言われています。
多量のニンニクエキスを摂取した実験では、明らかに酸化ストレスが減ったそうです。この効果からアルツハイマーや認知症の予防に効果がある可能性があると言われています。
これについては、酸化ストレス低減からくるものではなく、腸内環境の改善の結果からの記憶能力向上という実験結果もあるようです。マウスを使った実験では記憶障害の進行リスクが減る可能性が得られています。
ガンリスクの低減
7年にわたる実験で週に2回以上フレッシュなニンニクを食べるヒトの44%が肺がんリスクが低くなったという結果が得られています。
ニンニクの摂取量が特定のガンに罹患する可能性を低くする研究が世界中で多くされていて、前向きな結果が得られているものが多くあります。米国国立ガン研究所もニンニクを抗ガン作用を持つ食物の一つと捉えていますが、エビデンスとしては認めるところまではいっていないようです。これからに期待です。
ただし、ここに一つ気になることがあります。オレゴン州立大学の研究です。
ある研究によれば、ヨーロッパで市販されている様々なニンニクサプリメントの硫黄化合物の含量は12倍以上異なっており、このことは注目すべき
胃ガンに対する検証でですが、サプリメントとして消費されるよりも、食品として消費する場合の方がニンニクの化合物の量が多いそうです。
妊娠とニンニクの関係~早産予防に期待
出産と食物の関係は深いと言われていますね。
その中でニンニクを含むネギ科が早産を予防する可能性上がるという実験結果が得られています。
18,888人の女性が参加した実験ではネギ科の食物を摂取したところ、5%の950人が早産しなかったという結果が得られています。実験のオーナーは、「特にニンニクが早産の全体リスクを下げる可能性があったと考えられる」と結論づけています。
なおニンニクが合併症リスクを低下するという話もあるようですが、エビデンスとしてはまだまだ弱いようです。
また、オレゴン州立大学によれば次のような留意点がありました。
妊娠におけるニンニクサプリメントの安全性は確立してはいない。ニンニクの摂取により、母乳の臭いおよびおそらくフレーバーに変化が起こる証拠がいくつかある。
あとがき
いかがでしたか?「ニンニクが健康に良い」とはよく言われますが、いろいろな研究結果が得られていることが分かり、クリアになりましたか?とはいえ、全般、まだまだ研究は進行中。
健康効果はさておいても、旨味を出してくれる活躍範囲の広いスパイスですから、日常的に摂っていきたいですね。
それでは、また!
参考)
厚生省
Medical News Today
cochrane
health line
オレゴン州立大学
Newsweek