ネパール人の夫と暮らす香子です。母国を離れて日本で暮らす夫のためにスパイス料理を勉強し始め、今ではスパイスを使わない日がない毎日。
スパイスについていろいろご紹介しています。
フェヌグリークは、インドやその周辺国ではとても身近なスパイスのひとつで、料理にコクを出すので、野菜料理によく使われます。香は甘くメープルシロップの香りづけに使われます。一方で加熱しないフェヌグリークには強い苦味もあり調理方法を間違うと「おいしくないスパイス」と勘違いされてしまいます。
この記事ではフェヌグリークの基本事項と、おいしくフェヌグリークを使う方法もご紹介します!
科目 | マメ科 |
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原産地 | 西アジア(イラク、エジプト) |
利用部位 | 種子 |
別名 | メティ |
用途 | 甘い香りづけとコク |
相性の良いスパイス | シナモン、オールスパイス、クローブ、カレーリーフ、ターメリック、クミン |
個性的な甘い香りと苦味、香ばしさ
フェヌグリークの香りは、個性的です。ブラウンシュガーのような甘い香りと、強い焦げたような苦味のある香りが共存します。
甘い香りは、ソトロンという成分によるもので、低温だとメープルシロップやカラメル、高温だとカレーの風味に変身する芳香化合物です。
またこの香りは熟成香なので、お料理にコクを出します。
苦味は、カリオフィレンという成分によるもので、これもメープルシロップにも含まれるものですが、クローブに含まれる香成分でウッディな香りにつながります。
また、ピラジンという成分によって香ばしい香りも持っています。この成分はある実験では130度以上で加熱することで増えて、フェヌグリーク独特の香ばしさが際立つようになるとのことです。
参考)patent
乳化作用で油と水を融合してくれ”とろみ”を出す
フェヌグリークは香り成分とは別に、多糖類のガラクトマンナンという成分を含みます。
この成分は、「増粘剤」といって水に溶かすと粘度を増す物質ですが、ガラクトマンナンはそれ。実際、水に浸けるとフェヌグリークは柔らかいだけじゃなく、ねっちりしてきます。
ですので、水分の多い料理にフェヌグリークを使うと、水と油を乳化してくれ、もったりしたテクスチャーにしてくれます。
カリスメティと違うの?
フェヌグリークは、野生のクローバーともいわれる植物で、その種子を乾燥させたものがスパイスとして利用されます。海沿いの砂地や河川敷に生息します。
このフェヌグリークの葉は、乾燥させてハーブとして利用されます。これがカスリメティと呼ばれ、乾燥したカスリメティもまたスパイスとして出回ってます
種子と同じく苦味のある香りです。
ちなみに、スパイスの種子は中近東では豆として食べることもあります。さらには種子を水につけて出てきた芽をスプラウトのように食べる地域もあります。
フェヌグリーク効能
フェヌグリークは中世のヨーロッパでは薬草として扱われていました。またインドやその周辺国の伝統医療の「アーユルヴェーダ」では育毛剤や皮膚剤とされています。
効果を見ると全体的にアンチエイジングや女性・男性特有の悩みに効果が期待できます。特に男性の性欲減退についてはフェヌグリークのエキスを利用したサプリメントがいくつも出ています。
- 科学的には次のようなものについて研究結果が報告され育毛効果
- テストステロンを改善し、生活習慣病、男性の性欲や筋肉量改善
- 糖尿病の血糖値抑制するかも
- 代謝を促し食欲を抑えるダイエットの味方かも
- PMS改善
- 母乳を促すかも
- 抗炎症作用を持つかも
ホールとパウダーがあるけどホールがおススメ
https://setyukoblog.com/spice-basic/
フェヌグリークはホール(そのまま)とパウダーの両タイプが流通しています。
ホールタイプは多角形の形で、3~4mmくらいの小さい粒です。よく見ると真ん中に線が入っていて、なんだかかわいいです。固くて、まるで小さい飴のようです。
気軽な使い方
フェヌグリークの苦味が残らないようにするコツと失敗したときの対処方法
フェヌグリークは甘いのに苦い複雑な味の持ちぬし。苦味を残さないよう使うにはほんのすこしのコツがいります。また、苦くなってしまったときどうしたらよいか、こちらにまとめました。
野菜やサッパリした肉料理にコクを出す
フェヌグリークは味に厚みを出してくれるので、野菜料理に使ってみてください。淡泊な野菜でこそ威力を発揮します。
例えば、オクラやピーマンなど。サッパリした野菜の炒めものにコクを出してくれます。
ドリンクに
フェヌグリークシードの加熱による深みを利用してお茶を作ったり、コーヒーの代替として飲まれることもあります。
フェヌグリークの健康効果を効率的に摂取する方法としてもドリンクはおススメです。
水に浸したフェヌグリークを使う
アラブの料理に、ひよこ豆を使ったフムスがありますよね。これを作るときに乾煎りしたフェヌグリークを水に浸してペースト状(フードプロセッサーなどで)にしたものを加えると、一味違うフムスができますよ。
または、乾煎りしたフェヌグリークを水に浸して軟らかくしてから、肉の香りの強い羊肉や牛肉を使ったカレーに加えると、さらに味に深みを加えることができます。
あとがき
フェヌグリークは個人的には大好きなスパイスです。淡泊な料理の時は、テンパリングしてコクを出して使っていて、我が家では登場頻度の高いスパイスの一つです。
それでは、また!