スパイスの基礎

香りを引き出すための基本の方程式、ホールとパウダースパイス

ご訪問ありがとうございます!スパイス香子です。

スパイスを料理に使うと、料理は各段においしくなります。その理由はスパイスの持つ芳香。でも香り成分をうまく引き出すにはちょっとしたコツが必要です。
この記事ではスパイスの香りをうまく引き出すためのテクニックをご紹介します。

スパイスの揮発成分の精油は細胞の中にしまわれている

スパイスの芳香作用を働かせるためには、いろいろな方法があります。

でも、いずれの場合も、スパイスの元となっている植物の細胞の中に含まれている香りの元精油成分を細胞外に出してあげるための方法です。

例えば、ホールスパイスの場合は次のようなことが考えられます。

香子
香子
ホールは英語のWhole(全体)で、主にパウダータイプのスパイスに対して”原形のままのスパイス”をさします。
  • 叩く、破る、つぶす
  • 加熱する
ネズリー
ネズリー
加熱して細胞が壊れることで空気にふれて(揮発)香りが立ってきます。加熱する前に、スパイスをつぶしたり、切ったりしておくことで時間をかけず出すことができます。

「揮発性=蒸発しやすい性質」です。細胞が壊れて精油成分が空気に触れると香りが出るという現象につながります。

スパイスを叩く、破る、つぶす

例えば粗挽きコショウは分かりやすい例ではないでしょうか?コショウシードそのままより、挽くことで香りが出ますよね。これは精油成分を傷つけて揮発させてるってことですね。

 

代表的なスパイスもすべて扱い方にコツがあります!いくつかご紹介しますね。

  • ショウガ:すりおろす
  • ニンニク:みじん切りにしたりすり下ろしたりする。
  • クミンシード:ミルですり鉢で擦る。
  • シナモンスティック:割る。
  • カルダモンシード:さやに切れ目を入れる。中からシードを出す。さらにはすり鉢で擦ると香りはどんどん出てくる。
  • ベイリーフ/ローレル:手でちぎる。
  • コリアンダーシード:すり鉢で擦る。
  • 唐辛子:小さく刻むほど辛さがでる。

スパイスを焼く、煮る、炒める、蒸す

単純に加熱するだけでも、精油成分は揮発して香りが立ってきます。

香子
香子
イタリアンでオリーブ油にニンニクを入れて、香りが出るまで加熱しますよね。あれも同じ理屈ですね。

なお、加熱はつまりは火を使った調理ってことです。炒ろうと煮ようと、焼こうと蒸そうと煮込もうと、その方法は何でも構いません。

ネパール人夫ラム
ネパール人夫ラム
叩いたり、破ったりしてから加熱すると、更に効果的です

なお、加熱されると香り成分の構成が変わるスパイスが多いです。例えばニンニクは、加熱を続けると、ニンニク自体の強い辛味や臭みが消え、いい香りに変化します。

香りを引き出す方法は以上ですが、では、調理する素材にどのように香りをつけるのかを次からご説明します。

スパイスの精油成分は油溶性が多い

油溶性のスパイスから引き出した香りを食材につけていくのに大きな役割を果たすのが油です!多くのスパイスの香り成分は油溶性なんです。つまり、油に溶けやすいってこと。

ですので、叩いたり破ったりして、加熱して揮発させた精油成分は、揮発しきらないうちに油でつかんであげます。

例えばスパイスカレーを作るステップで、最初にテンパリングというテクニックがあります。調理の最初の段階で油にスパイスを入れて加熱するんですが、油に精油を抽出してるわけです。

テンパリングってどのようにするの?何のためにするの?|スパイス香子の医食同源 (setyukoblog.com)

油以外にも、精油成分は酢やアルコールにも溶けやすいです

沖縄料理屋さんに行ったことがある方はテーブルに島唐辛子の入った泡盛が置かれていたのを見たことがあるのでアはないでしょうか。あれは唐辛子の成分をアルコールに抽出してるんでんですよね。

加熱に弱いスパイス成分

加熱すると効果的に精油成分を出すことができるのですが、一方で精油成分は加熱に弱いもの方が多いんです。パセリやバジルなどのハーブは弱い成分が多いです。

ネズリー
ネズリー
そのため仕上げに使います。一般的にローズマリーやタイムなどは調理中に加えますが、それは熱に強いためです。

こんな実験結果もあります。これは揮発性オイルの方が多いスパイス長時間、高熱で加熱すれば香り成分の一部は弱まってしまうということが確認されたもの。

カレー製造に比較的よく用いられている香辛料9種について,120℃に加熱した場合の香気成分の変化をガスクロマトグラフィーにより比較検討した.
(1) カルダモン,クローブ,クミンは加熱により主要な成分が増加し,全香気成分量も増加した.
(2) オールスパイス,メースは加熱により全香気成分量が減少したが,その割合は比較的少なかった.
(3) フェネル,シナモン,コリアンダー,フェネグリークは加熱により各成分が大きく減少し,特にフェネグリークはそれが著しかった.
(4) 各香辛料の香気成分は,加熱により増減が見られたが,低沸点化合物量は全ての香辛料で減少が認められた. (日本食品工業学会誌

一方で、スパイスの香り成分は揮発性ですが、不揮発性オイルも含まれています。この成分が多い、例えばゴマや唐辛子も加熱しないと香りはありませんが、強く加熱をしても香りが揮発しないんです。

香子
香子
ゴマを炒る理由はそれね!

 

パウダースパイスがベストなのか?

ここでスパイスのタイプのお話ですが、スパイスには大きく2つあります。

  • ホールスパイス
  • パウダースパイス

ホールは英語のWholeで、全体という意味ですよね。つまり、スパイスそのまんま全体、ってことです。一方でパウダーはスパイスを挽いて細かい粉状にしたもの。

ネパール人夫ラム
ネパール人夫ラム
つまり、叩いたり、破ったりする方法のなかでも、スパイスを最小化しているということで香り成分が空気に触れる最大限の形状ということですね!

じゃあ、パウダーを使うのがベスト!と早まらないでください!香りは揮発性なので、空気に触れる形状になっているということで、香りが飛びやすいんです。

あとがき

スパイスいろいろ使ったのに、なんか物足りないんだよな~」というスパイス・カレーときどきできできちゃうんですよねえ。。そんなときは、改めて加熱しなおしてみてください。水分をもっともっと飛ばして煮つめるんです。あとちょっと塩を加えると、スパイスの風味が引き立ったりもします。

いすれも、量は少なめに、徐々に追加していくのがコツです。

それでは、また!

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