レシピの中でたびたび「テンパリング」というコトバが出てきますので、テンパリングについてご説明します。
テンパリングの単語は英語のtempaerで、「make more acceptable or suitable by adding something else, moderate」”尖がったところを弱くして、なにかになじむようにする」という意味。スパイスをお料理になじませるということのようです。それでは、どのようにするのか、いつするのか、何分くらいするのか?見ていきましょう。
どのようにするの?
ずばり、加熱した油でスパイスを炒めるだけ。
原則、パウダースパイスではなく、ホールスパイスで行います。
1、鍋を弱めの中火に掛けて温め、油を入れて温めます。
2、油が温まったら、スパイスを少しだけ鍋に投入して、油がシュワシュワと反応したのを確認して全部を投入します。
なぜするの?
いい香りの油を作る
油にスパイスの香りを移すのが第一の目的です。
スパイスは香りの元の精油成分が含まれる組織細胞が壊されると、香りが揮発するというのは別の記事でご紹介していますが、加熱もその一つ。
スパイスを料理に使う理由は、主にその芳香の利用にあります。芳香はスパイスの元となってる植物の細胞の中に含まれる精油成分から出ています。精油成分は「油」なので、水には溶けづらく油に溶けやすい油溶性。また、何もしなければ細胞の中に含まれている状態。細胞組織を破壊して出してあげる必要があります。
加熱はその方法の一つ。
「加熱によって細胞を壊して精油成分を出してあげて、親和性のある油に溶かし出す」というのがテンパリングで起きている現象です。
スパイスの刺激臭を減らす
もう一つの目的は、スパイスはそのままでは強すぎるものが多いからです。
加熱することでスパイスの香りは、多くが刺激が減って柔らかくなります。
スターター/フィニッシュ~いつするの?
「スパイスの香りが移った油を使って調理する」ことが大きな目的なので、多くの場合は調理の最初、具材を入れる前にテンパリングをします。
このとき使われるスパイスは「スタータースパイス」と呼ばれます。
一方、調理が終わったカレーに、テンパリングした油をかけて仕上げることもあります。
こちらは「フィニッシュスパイス」と呼ばれます。ダルカレー(豆のカレー)では、よく行われる仕上げ技法です。
何分くらいするの?
これはスパイスによって、お料理によって違っています。代表的なスパイスでは次のような感じです。
【どのくらい加熱するかの各スパイスの目安】
- クミンシード…シュワシュワと周りに泡が立って濃いブラウンになるまで
- フェヌグリークシード…ブラウン/真っ黒になるまで
- クローブ…倍くらいの大きさに膨らむまで
- カルダモンシード…シードが膨らむ、またははじけて割れるくらいまで
テンパリングは必須?
このテンパリングの工程をすっ飛ばして、例えばカレーを作ってみるとわかるんですが、この工程は飛ばすことのできないステップです。
ふつうの油で調理すると、カレーが油臭いんですよ。重いです。
イタリアンでも最初にニンニクを油で炒めるのと同じですね。スパイスのフレーバーのある油が、料理の土台を作り上げるってこと。このテンパリングからカレーは始まっているのです!
あとがき
以上、テンパリングについてご説明しました!
よく「ネギオイル」とか「ニンニクオイル」は出来合いのものが売ってますが、同じことですね。こうしたものも油でネギやニンニクを加熱して香りを移したもの。テンパリングとの違いは作り置きせず、調理直前にすること。その方がやっぱり新鮮で良い香りです。方法は非常に簡単でしょ?
最初はレシピに従ってテンパリングするのがよいと思いますが、目的は香りを引き出すことにあるので自分の好きな香りが出てきたら完了!でよいと思います^^
それでは、また!