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【ナツメグ・メース】甘く濃厚な風味の使い方と注意点

ネパール人の夫と暮らす香子です。スパイスを日常的に摂るようになって料理の幅が広がっただけでなく、健康度も上がりました!そこでスパイスのご紹介をしています。普段は会社員ですが、ネパールの家族や本、信用できる大学のホームページなどから情報を収集しております。

ナツメグはハンバーグのイメージかもしれませんが、料理にもデザートにも合うスパイスです。クセが強いので刺激と苦味が出やすいですが、他の強めスパイスと合わせるとお互いを抑え合っていい仕事します。
ナツメグと同じ植物から採られるメースというスパイスもあります。両方とも同じように使うことができます。

 

科名 ニクズク科
原産地 モロッカ諸島
利用部位 種子の中の仁(ナツメグ)、仮種皮(メース)
別名 にくずく
用途 香りづけ、臭いけし、旨味増し
相性のよいスパイス カルダモン、シナモン、クローブ、オールスパイス、カレーリーフ、黒コショウ、ショウガ、ニンニク

形状

ナツメグとメースは同じ植物から採れるため、「双子のスパイス」なんて呼称もあります。ナツメグは種子の中の仁で、メースはナツメグを覆っている皮です。

ネズリー
ネズリー
写真の赤いのがメースでその中がナツメグです。乾燥させてスパイスになりますが、それぞれ次のような感じ。

 

香りの特徴

ムスクのような濃厚な香り

ナツメグの香りは複雑です。ウッディで濃厚な温かい香りのようでいて、カルダモンのようなフローラルな香り、クローブに似た強い刺激もあり、全体を表現すると…エキゾチックで甘い豊かな香りです。

「ナツメグ」という名前は”musk nut”から来ています。「ムスクなような香りのするナッツ」ということ。「ムスク」は香水などにも使われる麝香(じゃこう)という香料。

ネズリー
ネズリー
麝香は、催淫作用や男性ホルモン作用といった薬効があるとされる香料ですね

ナツメグもメースも、口にふくんでみるとペパーや山椒に似た刺激もあります

 

香子
香子
この刺激は加熱すると、弱くなりますよ。

 

ホールがおススメ

さて、他のスパイスと同じく、ホールかパウダーのどちらかを使うべき?と疑問に思った方もいると思います。

どちらかをを常備するなら、断然、ホールがおススメです。
なぜなら、ホールスパイスの方が長く保管できるし、香りの鮮度が保ちやすいです。

スパイスはどうやって保存すべき?冷蔵庫も大丈夫?賞味期限は?ネパール人の夫と暮らす香子です。母国を離れて日本で暮らす夫のためにスパイス料理を勉強し始め、今ではスパイスを使わない日がない毎日。スパイ...

コロンとしてカワイイ形をしているホールのナツメグですが、意外に硬くてびっくりするかもしれません。でも、おろし器で挽くとフレッシュな香りを楽しめます。専用のおろし器もありますが、うちでは金おろし使ってます。

 

メースの方は軽いので、指でちぎることができるし、簡単に粗目だけど粉にできるのでこちらもホールがおススメ。というより、メースはホールの方が一般的です。

 

血塗られた歴史

ナツメグは中毒性もちょっと怖いですが、その歴史もちょっと怖い。

実はスパイスの中でも悲劇的な歴史を持つスパイスと言われるんです。

ナツメグは中性ヨーロッパではすでに人気の高いスパイスでしたが、その産地はヨーロッパでは秘密にされていました。そのため非常に貴重とされ、取引は非常に高価。13~14世紀には1ポンド(454g)でウシや羊何頭もと交換されるほどだったそうです。

 

17世紀になると、高価なナツメグ生産を独占しようとするオランダが、産地であるバンダ諸島を征服されます。このとき大勢の島民が虐殺され、また奴隷にされました

しかし独占状態は長く続きませんでした。それは、なんと鳩!の仕業。


オランダはナツメグ生産を独占するため、他の産地でナツメグが採れなくなるように植物を伐採しまくって、バンダ諸島だけで獲れるようにしました。なのですが、島と島を飛び回る鳩は、バンダ諸島でナツメグを食べて、他の島で糞をしたことで、ナツメグの種子が勝手に運ばれちゃったんですね。

ネズリー
ネズリー
にしても、人間のなんと貪欲なことよ…という感じですね。

 

相性のよいスパイス・代わりになるスパイス

ナツメグやシナモン、ショウガ、クローブなどと相性がよいです。

簡単で手軽にナツメグを使う方法

「ナツメグと言えばハンバーグ」というイメージがある方も多いと思いますが、実際ひき肉料理によく使われます。でもそれだけでなく、活用範囲は広いんですよ。

ホットドリンクにちょい足し

一番簡単な使い方はホットドリンクにちょい足しです。

例えばホットミルクやカプチーノ、コーヒーなどに、一つまみ振るだけ。

風味豊かなホットドリンクの出来上がりです!

なお、ナツメグは伝統医療アーユルヴェーダでは、質のよい睡眠に効果がある生薬とされていて、寝る前にホットミルクにナツメグ一振りして飲むことがおススメされてます!

焼きバナナに魔法のひとかけ

少し古くなったバナナがあったら焼いちゃいましょう!そしてナツメグを少しだけかけてみてください。大人のデザートがいっちょ上がりです。

肉の臭いけしと旨味を引き出す隠し味に

ハンバーグ以外にもロールキャベツのタネやミートソースづくりに少しだけ使うと、いつもの風味からバージョンアップよ。肉のうま味を引き出すので、味に厚みが出ます。

香子
香子
”少し””適量”とレシピによくあると思いますが、目安は肉300gに二つまみ(一つまみは、親指+人差し指+中指でつかみます)程度がおススメの量。強い香りが出過ぎると、隠し味も台無し&中毒性のことを考えて、少しだけ使うように注意してくださいね。

ジャガイモを使った料理に

ナツメグは淡泊な味に風味をつけてくれるので、例えばジャガイモを使うときに隠し味に使うと、料理に個性を出すことができます。

例えば、コロッケやマッシュポテト、ポテトサラダなど。

 

ホワイトソースなど乳製品や卵料理の隠し味に

ナツメグは乳製品の臭みも抑えます。

ホワイトソースやシチュー、チーズフォンデュなどにも煮込み中に、ナツメグパウダーを一つまみ入れて隠し味に。肉の時と同じで、入れすぎないように注意してください。あまり入れるときつくなってしまいます。

香子
香子
香子の大好きなメニューは「フェットゥチーネ・アルフレード」。重たくなりがちなクリームソースに変化をつけます。

 

卵料理の隠し味に

卵料理に入れると良い隠し味になります。

スクランブルエッグに一つまみ入れると、風味豊かになりますよ。

 

甘いドリンクや果物に合わせて

ナツメグは甘いドリンクにもよく合います。

簡単なところでいえば、ミルクティーに一振りするだけでも、エキゾチックな香りが加わりますし、牛乳と卵の両方を使った欧米ではクリスマスに定番のエッグノッグでも使われます。

エッグノッグは日本では懐かしいミルクセーキにによく似た飲み物。簡単に作ることができて、栄養価も高いので、夏に熱さでバテしそうなときなど冷たくして飲むのがおススメ。

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また、フルーツでジャムを作るときに、香りづけに活躍します。

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香子
香子
ナツメグかメースかと言えば、甘いものにはメースの繊細な香りの方があっています

 

焼き菓子の生地に

パウンドケーキやクッキーに使うと香味づけになります。特にメースの方は肉類よりも甘い焼き菓子に適しています。

ただし、仕上げではなく生地に混ぜ込んで使うのがキー。

加熱しないと刺激が残ってしまうので直に使わないこと。甘い香りのスパイスの代表スパイスとは相性も良いので、合わせて使うと香り高い焼き菓子になりますよ。

なお、ナツメグの温かみのある香りは、甘みのあるカボチャと相性がよくパンプキンパイに使われます。

 

あとがき

濃厚でエキゾチックな香りが特徴のナツメグとメース。香りを嗅ぐと結構強くて刺激的で驚くかもしれませんが、加熱をすれば刺激臭は抑えられます。なので、加熱して使うのがキーですね。

そして利用にはその量に注意が必要。この点はくれぐれも忘れないでくださいね。

それでは、また!