ネパール人の夫と暮らす香子です。母国を離れて日本で暮らす夫のためにスパイス料理を勉強し始め、今ではスパイスを使わない日がない毎日。スパイスは使ってみると料理の幅を広げてくれるだけでなく、なんだか健康度も上がりますよ。もっとスパイスを使ってみてほしいです!
シナモンは、日本人にとっても身近な存在。甘くおいしい香りでスイーツを彩ってくれますよね。それだけでなく、実はカレーにも使えます。インドのミックススパイス「ガラムマサラ」にも使われることが多く、香りそのものが胃腸を活性化するので芳香性の健胃やカラダを温める生薬としての歴史もあるんですよ。
この記事では、スパイスの特徴や留意点、健康効果、シナモンを日常に気軽に取り入れることのできる使い方をご紹介します!
科名 | クスノキ科 |
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原産地 | シナモンは、スリランカ(セイロン)など熱帯アジア カシアは、インドネシア |
利用部位 | 樹皮 |
別名 | 桂皮、肉桂、カシア、ニッキ、ダルチニ |
用途 | 甘い香りづけ、肉の臭いけし、煮物料理の厚みを出す |
シナモンの代替 | オールスパイス、クローブ |
香りの特徴
シナモンの特徴は、なんといってもその甘くエキゾチックな香りではないでしょうか。シンプルなお菓子もシナモンパウダーを振りかけるだけで上品に変身します。香りはアルデヒド、オイゲノールといった成分によるものです。
シナモンは月桂樹に似た10~20mの高さまで成長する常緑樹の幹や枝の皮です。発酵させて一番外側のコルク質外樹皮を削り取って、丸めて乾燥させて作ります。
葉っぱからも樹皮とは異なる香りの精油が採れ、スパイスの「インディアンベイリーフ」として流通しています。
形状の特徴、”シナモン”と”カシア”の違い
もともとは樹の幹や枝ですので、原形のホールタイプはスティック状です。
ただし、形状には2種類あります。
パイ生地のように薄く多層になっているものと一層で厚手のもの。
薄く多層のものは「セイロンシナモン」で、厚手のものは「カシア」と呼ばれます。それぞれの色や香りの特徴は次のようなもの。
セイロンシナモン | インドやマレーシアが原産でスリランカ産。
英語ではこちらはtrue cinamonと呼ばれており、スティックタイプは樹皮を重ねて丸める工程に手がかかるため高級品。パウダータイプの色は優しいブラウンです。 香りは繊細でかんきつ類のような華やかさがあります。 |
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カシアシナモン | 中国やインドネシア、タイ産。
スティックは肉厚な1層の樹皮で、安価です。 香りは甘く濃厚で、セイロンシナモンに比べると繊細さに欠けます。パウダーは少し色が濃いです。 |
ニッキとシナモンの違い
ところで日本に昔からあるニッキご存じですか?
最近の若い人は知らないかもしれません。でも、京都銘菓・八つ橋の香りといえばお分かりになりますかね。
ニッキの香りシナモンに似ています。でも、香りはニッキの方がシナモンより強くスパイシーな香り。
答えは、NO。厳密には違うスパイスです。
とはいえ、シナモンやカシアと同じクスノキ科の樹木から採られます。
ですが、シナモンは樹皮から、ニッキは「根」から作られます。
利用部位の違いから香りを放つ精油成分の構成が異なっているんですね。
シナモンの香り成分の多量を占めるオイノゲールという成分がニッキの方には含まれていません。
最近は国産のニッキはほとんど流通していないそうです。世代的には、あのキツイ香りはあれはあれで好きなんですけど…シナモンに座を奪われつつありますね。
参考)知識の宝庫
シナモンスティックは折って使う
ホールタイプのシナモンスティックはをそのまま嗅いでみてください。いい香りがすると思いますが、折ってみるともっと香りが強く出てきますよね。
精油成分の含まれてる組織を壊したからです。使うときは、折って香りを引き出して使うのをおススメします。
シナモンの健康効果
シナモンは実は、強力な抗酸化・抗炎・抗菌症作用を持ちます。そのため古代からミイラの保存のために使われており、貴重なスパイスでした。その効果は、現代では研究によって可能性に広がりを見せています。
- 血行を促す
- 口腔の健康や風邪の予防
- ニキビ予防
- 血糖値・コレストロール値の低下による心臓病・糖尿病の改善
- 脳の病気への期待
- 血管若返り
また、副次的ですが甘い香りは甘さを引き立てるため、料理に使う砂糖の量を減らすことができるという効果もあります。
手軽でおいしい使い方
甘いお菓子に使われるイメージが強いですが、インドのガラムマサラや中国の五香といったミックススパイスに欠かせない存在で、料理にも使われます。特に甘さをもつものや甘い香りに特徴のある料理と相性がよいです。
シナモンシュガーにして
シナモンは砂糖との相性が抜群。常備しておくと、ちょっとお砂糖を使うときにシナモンの香りも楽しめて、便利ですよ! シナモンを使ったもっとも手軽なレシピはこれに決まり!
甘い菓子、フルーツ(リンゴ)の甘いを強める
砂糖をたくさん使うケーキやクッキー、プリン、アイスクリームなどに使うと、より甘さを強めてくれます。
フルーツの香りとの相性も良く、コンポートやフルーツタルトにも使われます。
特にリンゴとは非常に相性が良いです。リンゴジャムやアップルパイなどに使うと甘さをよく感じることができるようになります。
カボチャの甘みを引き立てる
野菜だけど甘みのつよいカボチャ。カボチャもシナモンと相性が良いです。シナモンを使うことでカボチャの甘みが引き立ちます。
カボチャのポタージュにパウダーを掛けたり、カボチャを素揚げしたものに塩とシナモンパウダーを混ぜてまぶしてみてください!絶品です!
ホットドリンクにシナモン添えて香り立つ
ホールタイプのシナモンスティックをスプーンの代わりにカプチーノや紅茶などに添えると、独特の香りを楽しむことができるのは有名ですね。
パウダータイプを入れると、どうしても多く入り過ぎなので、スティックでかき回すのがおススメです。
いっそ砂糖を入れなくてもシナモンの香りで甘みが出るので十分になることも。スティックは折って使うと、さらに香りが広がります。
肉料理のくさみ消しに
肉のくさみ消しに向いているので、匂いの強めのラムやひき肉のお料理に使います。また、鶏肉の臭いが苦手な方などは、調理前に肉にふり掛けると鶏肉独特の臭いを抑えてくれます。
シナモンパウダーで下味につけることでくさみを抑え、味に深みを出すことができます。調理前にひき肉にクローブと一緒に練りこむと肉の香りづけにもなります。
煮物やカレーにシナモン使いでワンラックアップ
シナモンスティックは加熱に強いので、煮込む料理に向いており、味を濃厚に仕上げてくれます。
シナモンスティックを折って、豚の角煮やシチュー、カレーなどに使ってみてください。
カレーでの使い方
インドでは(ネパールのスパイスカレーでは使わないですね)ホールタイプの皮片を、カレーのスタータースパイスとして油で加熱して使います。
日本の普通のカレーに加えても隠し味となり、すこし重い感じになりますので、特に秋や冬にカレーを作る際におススメです。
あとがき
ほぼ、毎朝食べてるシナモンシュガートースト。朝から柔らかい甘い香りに包まれて幸せ‥です。ベースにバターではなくてクリームチーズを塗るのが、最近のマイブームです。
それでは、また!