雑記

カレーはイギリスの国民食~「カレー」がイギリス発って知ってました?

セチュコです。

日本のカレーのルーツはどこだと思いますか?「当然、インドでしょ?」と思うヒトも多いと思います。わたしもそう思ってましたが、実は違うのです!

 

インドやネパールに「カレー」はない

「カレー」といえば「インド」そんなイメージですよね。でも、「カレー」というコトバはインドにはありません。ネパールもインドと同じような食文化で、ほぼ毎日「カレー」を食べてますが、「カレー」というコトバはありません。

「カレー」はイギリスで生まれたコトバです。その語源には諸説あります。
有力なのはインドのタミル人の「カリ(kari)」というコトバが、17 世紀のイギリスで「カレー」に変化したものという説が有力です。「カリ」は、スパイスで味付けした野菜や肉の炒めものを指します(ネパールだと「タルカリ」です)。

ライスにかける「スパイスを使ったシチュー」が”カリ”と15世紀にインド東南を征服したポルトガルの貿易商によって「カレリcarel)」と呼ばれるようになりましたその後、英語の「カレー(curry)」になったと言われてます。イギリスで「カレー」というコトバが登場したのは1598年です。

「カレー」という料理自体は、インドの”カレー”が元になってますが、そもそもインドの”カレー”は各地域や使う具材によって多種多様。一つのコトバでカバーできるような料理ではありません。

でもこうした汎用的な用語のおかげで、カレーはグローバルな用語として世界中で通じます。タイの”カレー”も、日本の”カレー”も、スリランカの”カレー”も、スパイスを使ったソースっぽい料理はぜーんぶ「カレー」と呼ばれますからね。

 

カレーはイギリスの国民食

ちなみに、日本人が大好きなように、イギリス人もカレーが大好き。

イギリスでは毎年10月に「カレーウィーク」があります(2020年は10月7日から13日)。さらに20年ほど前の2001年。当時の外相ロビン・クックが、チキン・ティカマサラを”a true British national dish”(真のイギリスの国民食だ)と評しちゃうくらいです。

今でもイギリスには、ざっと12,000軒のカレーレストランが存在すると言うのだからすごいです。

そんな国民食カレーについては、イギリスでもCurryというコトバがインドにないことにはびっくりするみたいです。英語でググると「”カレー”はインドのものじゃないって、なんで?」みたいな記事がちょいちょい見つかります。

 

日本のカレーの始まり

今でこそ「カレーと言えばルー」ですけど、ちょっと昔はカレー粉で作られていた日本のカレー。

カレー粉は日本が創ったものではなく、イギリスから伝わったもの。明治に入った1870年に初めて伝わったと言われています。

カレーに欠かせない肉ですが、文明開化以前は肉食は禁止されていました。ちょうどカレー粉が伝わったころ、文明開化で解禁された肉食がカレーの人気を後押しします。カレー粉を使った「ライスカレー」は、高級料理として人気を博しました。

その後、1905年には国産のカレー粉「蜂カレー」が発売されます。

セチュコ
セチュコ
ハチ食品が、輸入に頼っていたカレー粉を国内生産してくれたことで大衆にも手が届くお料理に!

ハチ食品

カレー粉はインドにはない

そもそも、既製品の「カレー粉」なるものはインド半島の国々には存在しません。

セチュコ
セチュコ
ネパールでも、料理や体調に合わせて、そのときどきでスパイスを調合します。

カレー粉を作ったのはイギリスです。

カレーの歴史に一役買った17世紀の大英帝国のインド植民地化東インド会社は、以前よりヨーロッパで貴重とされたスパイスをインドから運び入れ、イギリスの繁栄に貢献します。

この東インド会社のイギリス人のスタッフや軍の将校はインドに住みました。多くのイギリス人が現地のインドの女性と結婚したり、愛人関係になり、朝、昼、晩とローカルフードを食していました。ローカルフードを欧州風にアレンジもして楽しんでいたようです。

現地のカレーの味を自国でも再現したいと考えたイギリス人がいました。1747年には「CURRY POWDER(カレー粉)が登場しています。初版時は、コショウとコリアンダーシードで味付けされるレシピでしたが、1796年にチリペパーとカレー粉が追加されます。

(引用:BBC BRITISH LIBRARY – LEARNING)

18世紀末頃には東インド会社で富を極めた商人たちがイギリスに帰国し始めます。インドから料理人を連れて来てしまうヒトたちもいました。かたや、連れてこれなかったヒトは、ロンドンのコーヒーハウスで初めてメニューに載せたカレーで、インドの生活を懐かしみました。

一方、カレーやインド料理のレシピは料理本で紹介されるようになります。

1851年に出版された書籍『Modern Domestic Cookey(現代の家庭料理)』には「今や、カレー料理のない夕食はもの足りないと、言われるほどすっかり定着している」とあるくらいです。

18世紀末にC&B(クロス&ブラックウェル社)によってついに製品化されたカレー粉!大衆化に拍車がかかりますね

イギリスのカレーはソースを重んじるフランス料理の影響を受け、小麦粉でルーを作り、とろみをつけて味付けをするようになりました。

これが、そのまま日本に伝わったわけですね。

タンドールチキンもチキンマサラもイギリスのパキスタン人創作

ところで、インド料理屋さんに行くとついつい「タンドリーチキン」頼んじゃいますよね。柔らかくて香ばしくてエスニック風味がおいしい。

でも、実はこれもイギリスで創られたものなんだそうです。イギリス在住のパキスタン人難民だったクンダン・ラルが、1948年頃発明したメニューが始まり。

タンドールはこんな感じの粘土のかまどですが、クンダンは、自身のレストラン「モティ・マハル」でかまども開発してしまいます。スゴイ。

鶏肉をぶつ切りにして、スパイスを漬け込んだヨーグルトに鶏肉を投入して、タンドールで焼くタンドリーチキンは、当然ながら(おいしいもん)人気を博しました。クンダンは、さらに「バターチキン」も開発。この鶏肉をトマト、クリーム、バターソースで煮込むというお料理は、のちにチキンティッカ・マサラカレーになったのです

あとがき

カレーって何であんなにおいしいのかな‥それは日本のカレーも、インドのカレーも、ネパールのカレーも関係なく、全部「カレー」と名の付くものはおいしい!!中毒性がありますよねえ。

 

参考)How curry conquered Britain BBC From Pakistan to the Caribbean Curry’s Journey around the world CNN
『カレーの歴史』原書房