ブログご訪問ありがとうございます。スパイス香子です。ネパール人の夫と結婚して以来スパイスを使わない日がない生活を送るわたしからスパイス情報をお届けしております。
シナモンは知らないヒトはいないスパイス。でも、実は”本当の”シナモンとそうでないシナモンがあることは、知られていないと思います。シナモンパウダーの多くは、”そうでないシナモン”の方で作られていますので、実際は区別する必要はあまりないのですが、スパイスマニアとしては違いを知っておくと面白いと思いますよ。
シナモンとは
シナモンは知らない方はいないと思います。甘い香りのスパイスで「シナモンロール」というパンも定番ですし、カプチーノやコーヒーにシナモンスティックを添えて香りを頼みながらドリンクを飲むのも一般的です。
甘い香りのスパイスだけど、実はスパイスカレーに使えば濃厚さを出してくれる便利な存在でもあります。
ただ”シナモンと呼ばれている中に、実は2種類のシナモンが存在しているんです。
いずれの”シナモン”も、クスノキ科の常緑樹の幹の表面を削り落とし中の樹皮をはぎ取ったものですが、外見、香りなど並べてみると全然違うんですよ。
外見の違い
セイロンシナモンは繊細
上の写真がセイロンシナモン。その特徴は繊細さです。
薄い皮が幾重もの層になっていて、まるでパイ生地のようです。割るのも簡単に手で割れます。樹皮の内側の層を、手で丸めながら重ねるという手間のかかる工程で作られます。
カシアシナモンは固い
こちらはカシアシナモン。見た通りは厚手で、樹の皮!って感じです。
カールもあまりありません。
色もシナモンより茶色いです。
そして、樹って感じで固く、手で割るのはなかなか厳しい。わたしは麺棒を使って叩いて割ります。
香りの違い
最大の差はこれ。流通では、セイロンとカシアは区別されてないけど、比較するとその香りの違いは明らかです。
セイロンシナモンは繊細で華やか
セイロンシナモンは、カシアに比べると繊細で華やかな香りです。
この繊細な香りによって、セイロンシナモンは高級なシナモンとして扱われています。また、カシアシナモンと比べて「トゥルーシナモン」とも呼ばれます。
カシアシナモンは温かい
香り成分は、セイロンシナモンに比べてウッディで土っぽい温かみのある甘い香りです。
香り成分と健康効果の違い
シナモンアルデヒド(桂皮アルデヒド)という成分がシナモンらしい香りの元ですが、セイロンシナモンとカシアシナモンでは、含まれる割合がかなり違っています。また、シナモンを「若返りのスパイス」と呼ぶことができるのはこの成分のおかげなんです!
セイロンシナモン
香り成分は、温かく甘い香りのシナモンアルデヒド。精油の50~63%を占めます。残りはウッディな香りのカリオフィレン、クローブのような刺激的な香りのオイノゲール、加えてフローラルな香りのリナロールを含んでいます。
カシアシナモン
シナモンアルデヒドが90%以上と非常に多く含まれます。そのため土っぽいような温かい甘い香りが強いです。他にはちょっと苦味につながるタンニン、温かいクマリン、フレッシュな香りのシネオールも含みます。
そしてカシアシナモンが含む温かい香りの元のクマリンが、実は肝臓に悪影響を引き起こす可能性があると言われています。そのためカシアシナモンから作られていることの多いシナモンパウダーは特に過剰に摂ってしまいやすいので、ぜひ、注意して下さい。
煮出して違いを確認してみました
こうやって並べるとセイロンシナモンより、カシアシナモンの方が色が濃いのが明らかですね。
これを煮出してみると、こんな感じで出てくる色も違います。上の写真と左右が逆になっちゃったのですが、左がカシアシナモン、右がセイロンシナモンです。
カシアシナモンの方が黄色の色が強く、セイロンシナモンはすこしピンク掛かったやさしいブラウンです。
香りの違いは上でもご紹介しましたが、こうやって煮出して香りを比較すると、かなり違いが分かりやすく出ます。カシアシナモンの方はちょっと体臭要素を含むような濃さもがあり、セイロンシナモンは爽やかぁな甘い良い香り。香水にしたい感じです。
植物や産地などの違い
セイロンシナモンはスリランカ産
セイロンシナモンの元になる樹はとても長身で15m~にもなり、セイロンシナモンという名前の通り原産地はスリランカです。現在ではインドネシアやベトナム、ミャンマーなどでも栽培されていますが、スリランカ産が最上と言われます。
カシアシナモンは中国産
カシアシナモンは中国南部が原産です。こちらの樹は背が低く、熱帯林に原生していました。
なんと紀元前2700年頃には、すでに古代中国で生薬として使われていました。古代エジプトでは紀元前1600年以降にはシナモンをミイラやお香に使っていたことが分かっていますが、それがカシアだったのかセイロンだったのかは分かっていないそうです。
ヨーロッパに渡ったころには、カシアとセイロンの判別はつけられていて、繊細さに欠けるため安価になりました。
流通上は同じように扱われてます
以上のように、セイロンシナモンの方がカシアシナモンより格が上‥という感じで扱われていますが、一般的には区別はされていないことが多いです。
特にパウダー状のシナモンは、おそらく「原材料がセイロンシナモン」などとは記載されておらず「シナモン」とあるはずです。実際、シナモンパウダーは一般的にカシアシナモンです。
あとがき
いかがでしたか?実はシナモンに2種類あるというのは驚いた方もいるのでは。ちなみにシナモンと日本古来のニッキとも厳密には別物。こちらの記事でご紹介しています。
それでは、また!